クレーム対応は、コンプライアンスの中の一分野とも言えますが、単に書面作成的な業務をすれば足りるものではなく「現場」がある分野ですし、また、(訴訟をにらみつつも)訴訟とは異なる特有の知識・経験・マインドが必要です。また、弁護士も人の子ですから、実際のところ向き不向きがあります。このため、これで1つの固有の領域を形成していることから、特に別途取り上げました。

当事務所の代表弁護士は、経営者・担当者向けのクレーム対応セミナーの講師を務めています。

・「クレーム対応現場の悩みと誤解を解消する 法的理解&実践ノウハウ」(2012年7月)

・「現場で実践できる『クレーム対応』のポイント」(2013年1月)

・「現場で実践できる『クレーム対応』のポイント」(2013年6月)←好評により第2回目です

クレームというカタカナ日本語には少々あいまいなところがあり、英語の意味ともずれがありますので余計に分かりづらい面がありますが、平たく言えば、以下の2種類があるとお考えください。
実務上は、これらをきちんと区別・整理していない説明・助言もしばしば見受けられますので、その説明等では「クレーム」がどちらのことを指しているのか、注意して読む(聞く)と有益でしょう。

  ①正当な請求・申出で、むしろ業務改善のため生かしていかなければならないような場合

  ②法的に不当な請求・申出で、いわゆるクレーマーによる不当請求となっている場合

さらに、実務上は、これらの境界線上にある例や、途中で話がこじれたことから不当請求に移行する例など、グレーゾーンのケースも少なくありません。

これらをごちゃごちゃにしてしまうと、

  正当な請求に対し不誠実に対応して顧客を失ったりレピュテーションリスクが拡大したりする

等の事態を招き、逆に、

  クレーマーに対して筋の通った対応ができずにずるずると要求が拡大し、あるいは社内の士気が低下する

等の事態を招きかねません。

そこで、これらのクレームに対する対応準備や、実際の対応にあたっては、

・そのクレームが、企業の日常業務から一定程度少量の発生が予想されるものか、それとも突発的に大量発生したものか、

・そのクレームの原因については当該企業側に法的過失があるかないか、法的過失がある場合どのような程度と内容か、

・(クレーム対応開始後のご相談の場合)事実経過として初期対応や継続対応が適切であったか、

等の事情を具体的に踏まえつつ、企業側と顧客側それぞれの一般的事情及び個別的事情を判断して、顧客対応の方針や社内体勢を決めていく必要があります。

顧客対応の形態には、書面による場合、電話等により企業のご担当者が受動的に(受付窓口)または能動的に(電話連絡)行う場合、依頼を受けた弁護士が行う場合等の手続・方法があり得ますが、いずれの場合にも、企業の危機管理対応として、法的な判断と経営上の判断が両方必要とされ、どちらかだけでは不十分である場合の多いことが特徴です。
このため、企業(担当者に限らず、経営者や幹部を含みます。)と弁護士が、二人三脚で対応する必要性が高い領域
です。

当事務所の代表弁護士の場合、コンプライアンス全般(別ページをご覧ください)に加えて、企業の皆様と協力してクレーム対応に従事した経験も多数有しております。

その経験から申しますと、自社スタッフだけで頑張り過ぎると、方針が迷走したり、限られた人的資源が本業以外へ必要以上に割かれたりします。特に、直接目に見えないダメージとして、うまく解決できないことによる経営者や担当者の疲労は、経営効率を下げ、会社への愛着心も低下させます。

また、その経験からさらに申しますと、以下の1から7までのような理解に基づいて、対応方針を立てようとしている、または、立ててしまったことはないでしょうか。
実際、その方針を何とかして守ろうと、自社スタッフだけで頑張ったものの、疲れ切ってしまう場合(または、そのようになりかけていたところをご相談いただき、事前に食い止めた場合)も見られます。 

しかし、以下の理解は、(一般にはしばしば見かけますので、そういうものだろうと思い込んでおられる方や、半信半疑の方もおられるでしょうが)実は、法的にもビジネス的にも、全て大なり小なり誤解なのです(誤解1〜7)。 内容自体に誤りがあるか、少なくとも、俗説として誇張が過ぎており(場合分けが不十分)、理論上でも対応現場でも不適切なばかりか、かえって有害なこともあります。

したがって、以下のうちどの理解に基づいて対応方針を立てても、そのような方針が守れずに疲れ切ってしまうばかりか、話がこじれたりしてよい結果もなかなか得られないのも、いわば当然なのです。
別の言い方をしますと、よい結果が得られない(おそれがある)のは、貴社のご努力や誠意が足りないからではなく、そのもとになる方針が必ずしも適切でないからなのです。

そうであれば、当事務所に限りませんがクレーム対応の可能な弁護士の支援を得て、一緒に頑張った方が、徒労が少ない上、成果も大きくなるのではないかと存じます。貴社のお客様と、貴社の人材と、両方を適切に大切になさってください。

その際には、「これらの方針がなぜ誤解なのか」、「そうではない方針がどのような方針であり、それらの方針はなぜ適切なのか」について、その理由をきちんと理解しておくことが重要です(方針自体を記載しただけのマニュアルの形式的な配布や、方針の丸暗記指示、あるいは法的説明の裏付けのない単なる精神論・根性論の訓示ではなく)。
そして、
少なくとも経営陣と担当者(できれば、営業部門等も含めた、全社)で、その理解を共有しておくことが、大変有益です(対応方針の統一と、会社としての一体感)。
それが、クレーム対応時に経営陣と担当者の心の支えにもなりますし(クレーム対応は、心身ともに負担のかかる仕事です…)、ひいては、適切な判断と納得のいく結果につながるでしょう。
 

誤解にもいろいろな誤解の仕方があり得ますから、試しに、以下でチェックしてみてください。

誤解1 会社から謝罪の言葉を述べることは、どの者からいかなる場合であっても一切してはならない。

誤解2 全てのクレームには毅然として対応しなければならない。

誤解3 根拠のないクレームに対しては、クレーム内容に対する会社の見解を説明する必要もない。

誤解4 クレームは全てお客様からのものである以上、クレームに伴ういかなるご要望にも、お客様のご意向に沿うようにご対応しなければならない。

誤解5 お客様に会社からのご説明がご納得いただけないと、結局は意味がない(ご対応・ご説明は、お客様にご納得いただけることが最終目的であり、その目的が達成できない限り会社ないし担当者としては失敗であるから、その目的が達成されるまで続けなければならない)。

誤解6 クレームについて訴訟の提起等がなされること(第三者機関に持ち込まれること)は、いかなる場合であっても避けなければならない。

誤解7 会社とお客様との間で何らかの最終的な合意が成立する場合も、クレームを穏便に収めるためには、書面にはしない方がよいし、その内容にもこだわらない方がよい。 

なお、コンプライアンスのページでも述べましたように、この分野・業務は、概して企業法務系弁護士でも比較的少数の弁護士しか専門的には取り扱っていませんので、①ご相談される弁護士がそもそもクレーム対応やコンプライアンスの知識と経験が豊富か、②また、そうだとしてもどの分野のクレーム対応についてか、といった点を確認されると、効果的なご相談ができるものと存じます。

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